2011年8月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1535ページ
ナイス数:146ナイス

■獣の奏者 外伝 刹那
外伝刹那は、児童文学ではありませんね。エサルの恋心が今の自分の気持ちに重なって、思わず泣きました。どうしようもない位の熱情でも無理やり吹き消して大火傷を負うしかない道もあるんですね。エサルの選んだ道、エサルの強さを見習いたいです。この刹那に限ってだけの印象は、男性陣が薄かった。ずるいし、卑怯で・・・残酷。それでも、女性は強く他者を護り生き続けていくしかない。全巻読んできて、これは人生の軌跡なのだとスッと腑に落ちました。
読了日:08月30日 著者:上橋 菜穂子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13091594

■M(エム) (文春文庫)
激しい性描写は飛ばしてしまいましたが、このヒリヒリする感じ、どこにでもいる身近な生活を営む人々が、焦燥感や虚脱感に追い詰められていく心理的な部分が生々しくて、人は誰でもこういう部分は(陰の気持ち)は持ち合わせていて、何かの拍子でものすごい妄想に苦しんだり、事件に巻き込まれたりしてしまうんだなとコワくなりました。
読了日:08月24日 著者:馳 星周
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12986739

■オレンジの陽の向こうに
謎の多い死後の世界と現世とを結ぶ地衣類のアマノイワフネ。それを近くに置いておくと死んでしまった大切な人と夢でリアルに会って話ができる。最後までその謎は解明できなかったけれど、それよりもなによりもせつない話でした。ひょんなことから家をなくした棗を居候させることになった真。この二人はたった1カ月しか同居しなかったし恋愛感情もなかったのに、事件に巻き込まれた後のその後でもう二度と逢えないと痛感した後にようやく互いの想いに気づいたこと、気づけたこと。沈みゆく太陽のオレンジの陽色の向こう側に大切な人がいることを認めた瞬間のどうしようもない喪失感が、痛くてせつなくて寂しくて胸が締め付けられました。誰にでも普段は気付かない自分の想いってあると思うから。
読了日:08月16日 著者:ほしお さなえ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12825305

■愛が理由 (幻冬舎文庫)
なんだか、30代後半の女性がみんな若い男子高校生が好き(ふりまわされる)的な先入観ありありじゃないですか~?私は、年下全く苦手だしましてや高校生なんて私から見たら「よくわからない」世代なのに。これは「愛」が本当に理由なんでしょうか?矢口さんは、好きだけどこの作品は少しびっくり。無理がある。けれど、親友の麻子と美佐子の関係性には女性ならではの心理描写がよくわかります。どちらかが親友って思ってても・・・実は相手はそうでもなかったり。学生時代は密着した関係だったのが、社会に出ると離れたり。次作に期待です。
読了日:08月08日 著者:矢口 敦子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12693430

■カイルの森 (角川文庫)
銀色さんの言葉って、やっぱりサラサラとして読みやすい。単純なストーリー(愛について)なんだけど、設定も良かったし途中に詩も載っていて、流れるように読んでいきました。カイルと妖精たちのそれぞれの会話(まるで禅のよう)が時にグッと腑に落ちたり、微笑ましく感じたり、薄い本なのでサラサラと良い気分で読み終えました。表紙のデザインがシンプルで好ましいです。
読了日:08月08日 著者:銀色 夏生

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