子供のあどけない寝顔を見て癒されるとあなたはいう。
あの子の病に立ち向かう勇気が漲ると・・・

けれど、私は見てない。
あの子の寝顔にキスをして別れた以降、見てない。
あなたが、どういう意味でいうのかわからない。

あなたはそばにいてあの子の病を直接見られる。
でも私は遠くにいるから、不安が募るばかり。
あなたのナーバスな便りを浴びせられ、苦しいばかり。

せつない事実。
あなたは救われたいのだろう。
だから私に吐きだすのだろう。
せつないね。

私の夜は明けたのかもしれない。
けれど、夜のしじまの中歩き続けてきた私にとって、
既に違う道を歩いている私にとって、薄暮の中遠ざかる背中を
見せるしかない。どんどん離れていくばかり。

近づく事はできない。時は過ぎていってしまった。

何を求めているの?
あなたが欲しいものは、同じ場所にはもうないのに。

何を言って欲しいの?
あなたが求める言葉は、間違っても口にしないとわかっているのに。

壊れたものは元に戻らない。
愛情も。信頼も。憐憫も。

身にまとうのは残骸しかないのだと気付いて欲しい。

コメント